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吾子の成長記(ako045.html)

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2002/2/15(金) →題名目次
水疱瘡完治 生後861日(2歳4カ月7日)

 久しぶりに目覚ましをセット。仕事準備を朝からしなければならない。
 妻が電話して、病院の予約時間を前倒しにしてもらい、妻の手で食事を済ませた吾子を連れて、時間ギリギリで病院に滑り込み。もし、完治していればそのまま保育園へ子を連れて行き、私は出勤、妻は登校。もし、まだ治っていなければ、子をうちに連れ帰って、妻が休んで面倒を見て、私は出勤、と、親子3人のその日の行動が先生のひと言で決まる。ひと目見て、
  「あぁ、こりゃ治ってるね」
そういってくださり、先日は裏口から入って裏口から帰ったが、今日は入ったのは裏口でも出たのは表からだった。診察室に溢れていた人目が痛い。
 保育園をいやがるか楽しみにするか不安だったが、例の「とまれ」のところで飛び跳ねて字を読んでくれ、そこで滞留したのを別にして、喜んで保育園に入った。顔見知りの母子や保母さんらが、
  「あ、吾子ちゃんだー」
  「吾子ちゃん治ったんですか」
と口々に言ってくれる。子は、いつものように、保母さんに言われるまで私の方を瞥見せずに手を振ってバイバイした。さみしいのは私の方かも知れない。

 午前中から出勤して準備に勤しみ、午後から労働に励む。2時間ほどの空きがある。そのまま職場で時間を潰そうと思っていたが、丸一週間片時も離れず(少し大げさ)暮らしていた吾子の感触・息づかいが恋しくて堪らない。渋滞の中をうちに向けて車を走らせる。
 いつものように、父の帰宅を見ても子は変化なし。ただ、妻によれば、迎えに行って妻の顔を見ると、久しぶりに大泣きしたそうだ。やはり環境の変化にはとまどうものがあるようだ。そして、自転車がうちの前に着くと、一週間以前にそうしていたように、
  「パーパ!」
と言って止まなかったそうだ。出迎え方は無愛想でも、激しく私にまとわりついてくる。子は、強烈に保育園の臭いに染まっていた。文字通りの「臭い」である。だいぶ臭いなあと思っていたら、今度は大便をしたのであった。糞まみれの子を妻に託して、再出勤。

 Blue's Cluesの新しいビデオが3本届いたそうだ。今度も子はまとわりついてくれた。が、チューしようと頬を寄せると、
  「いたぁーい」
と顔を離す。剃り跡の青々した髭が痛かったようだ。

 両手をメガホンにして、直立したまま大きな金切り声を張り上げて、
  「にゃんにゃん ここー!」
と頻りに叫ぶ。「ここー」のアクセントは「どこー」と同じだ。ネコを探している、ようだが、本気で何か探しているわけではなさそう。にやにやしている。「ネコを探す演技」に没頭しているようだ。次第に探すものが、「ホネ」になり「めーめ(ヒツジ)」になっていった。

 あれやこれやで寝る時間はとてつもなく遅くなった。妻によれば、寝付いたかと思っていた子は、まだ起きていたらしく、
  「パーパ、チーチ」
と、私とキリンとを同列に並べた独り言を言っていたそうだ。私が耳にしたのは、
  「早く寝なさい!」
ぴしゃりと叱りつける妻の声だけ。そして、その直後に、----なぜだろう----子は就眠したのだった。
 とにかく無事に水疱瘡が治ってよかった。軽症だったのは予想外の賜物だった。そして、子とみっちり過ごす時間で出来て嬉しかった。・・・・自宅ですべき仕事は何もできなかったので遅れまくっているが。関係者のみなさまもうしわけございません。

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2002/2/14(木) →題名目次
渡る世間はネコばかり 生後860日(2歳4カ月6日)

 昨年は「吾子のおらぬ結婚記念日」だったが、今年は「吾子とべったりの結婚記念日」である。おそらくもう水疱瘡は治っており、通園も可能だろうが、なにせ太鼓判を押すはずの病院の休診日なのでいかんともしがたい。
 結構遅く寝たくせに、まあまあ早く起きてきた吾子に起こされて一日が始まる。妻はこんなに遅刻ばっかりで大丈夫なのだろうか。子は、昨晩隣室のベビーベッドの上に置き忘れたホネの玩具の入った箱を抱えて登場。台所の定位置に置かないと気が済まないようだ。
 ここ数日、吾子は「味覚が変わった」のか、シリアルはまったく口にせず、朝食や昼食は「アンパンマンふりかけ」の掛けられたご飯か、食パンしか食べてくれない。今日もその通りの組み合わせ。
 今日は、妻が早めに帰ってくるから、午前中に散歩に行こう。
  「さ、おでかけしよう」
と誘うと、前向きであったのは昨日と同じ。風が少し吹いて日蔭は寒いが、日向は結構暖かい。延べ4匹のネコと遭遇し、私が近づくとネコが逃げること必定なので、少し離れた位置で子に、
  「行ってなでなでしてあげなさい」
  「いしいし(よしよし)すると喜ぶよ」
と勧めるが、首を左右に振っていやいやするのだ。イヌのトラウマでネコまで怖いのだろうか。
 道ばたに、埴輪(ハニワ)が置いてある。昨日は気付かなかったな。子に指さすと、数cm 飛びすさった。怖いようだ。
 外出は短めに。コンビニによってチョコエッグを3つ買う。早く中身を確認したい吾子は、コンビニ袋を手に提げてうちに急ぐ。そういや今日は結婚記念日であるだけでなく、バレンタインデーである。もしかして郵便受けにチョコレートでも投函されているかもしれない。などと虚しい妄想を抱いて郵便受けを覗くが、チョコだけにチョコっとさえ見えない。やはり結婚するとだめだねえ、これでも独身時代には郵便受けが詰まるほどチョコをもらったなどという事実はやっぱり全くないケド。
 子の走る音がいつもと違うし、よく足を気にしていたが、帰宅して気付いた。靴が左右逆であった。それでよくあんなに早く走ったものだ。
 チョコエッグは、「当たり」であった。人魚姫ゲット。あと、ドナルドダックの嫁さん(?)と海賊フック。私が幼稚園の時、たぶんピーターパンの絵本かアニメかを見た後で、みんな絵を描かされたのだが、ほぼ全員、ピーターパンかティンカーベルの絵を描く中で、私だけ「かいぞくフックうみにおちる」という題で絵を描いたのを覚えている。
 妻が帰ってきた。昼寝の前に激しく遊ぶ。柔道技まがいのことをしてやると、
  「もっかい、もっかい」
の連続で、こちらが先に一本取られます。
 妻が寝かしつけに入るが、なかなか寝ない。ずいぶん経ってふすまががらりと開いたと思うと、子が走って私の横に寝ころんで、腕枕で寝てしまった。昼寝というより夕寝である。昼間、チョコエッグの空きケースに、目鼻を付け、Blue's Cluesに出てくる、ソルトとペッパーの間の赤ちゃん(パプリカ)にしたてた「人形」3つを手に握ってやってきた。妻子はたっぷり寝たろうが、私は子を腕に抱いていることと、時間柄、周囲の家のふとんたたきの音でほとんど眠れず。
 子の5時ごろの寝覚めでみんな起きる。なんという家だ。私のTシャツの袖は涎まみれ。しばらく横になってだらんだらんTVを見ていた吾子は、突如立ち上がり、玄関まで走り、外を指さして大泣きし始めた。察するに、TVに三輪車が出てきたのではなかろうか。子の意に従って、冬の黄昏に散歩に出る。わびしい。
 うちの前のベランダで済ませようと思ったのだが、子が三輪車ごと階段から降りようとしたので、執念に負けて、近所を一周する。相変わらずペダルを漕げず、両足で地面を蹴りながらとぼとぼ進むので、わびしさはひとしお増すばかり。遠くに郵便配達のバイク。子は、
  「怖い」
と顔を伏せる。交通安全感覚があってよろしい。でも、まだ20mは離れてますが。
 妻が階下まで迎えに出てくれていたおかげで、近所一週で素直にうちに入ってくれた。すかさず一緒に入浴。昨日はキティちゃん入浴剤だが、今日はピカチュー入浴剤。香りがするだけで、色も変わらず泡も立たずなのに、何が楽しいのかわからん。
 食後、灯りもついていない寝室に入ってふすまを閉じた。いつもなら、
  「吾子いない、吾子いない」
と言って、かくれんぼの要求をするのだが、妙に静かだ。そしてしばらくして出てきてまとわりつく。強烈な臭いもまとわりつく。どうやら暗闇で大便をしてきたようだ。人の見ていないところで糞尿をするなんて、まるでネコだ。
 昼寝から起きて、どうも機嫌がいまいち。空腹のせいもあったろうが、おそらく眠いのだろうな。チョコエッグのおまけのフィギュアで、キマイラ生物を作成(例えば、ワニの胴体に人魚姫の上半身を付けたり、ピーターパンの下半身をシンデレラにしたり)して大笑いしたあと、薬を塗布しようとしたら、強烈に嫌がって泣きわめく。そして、
  「ママ、ねんねー」
と言って、寝室に入ってふとんをかぶり、
  「吾子、もッふー!とってー」
と自分の毛布を求めた。ここまであからさまに睡眠を求めたのは初めてであろう。いつもよりずっと早い時間だ。かろうじて準備の整いつつあった妻をせかせて、すぐに眠りについたのだった。・・・・薬は、塗れなかった。昼間、一度塗ったが・・・・。

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2002/2/13(水) →題名目次
保父ならば時計を見てはをるものを 生後859日(2歳4カ月5日)

 数度に渉った夜泣きは、汗をかいた発疹の痒みによるものだ。子が泣くたびに、潰れた発疹に薬を刷り込んで、背中に風を送り込んでやった。そうするとすぐに泣き止む。
 朝は驚くほどの時間まで起きてこなかった。私も同じで、久しぶりの連続睡眠に、目やにが固まって目が開かなかったくらいだ。子が、私の唇の端を指さして、
  「赤!」
と言うので、充分な睡眠のおかげで血色の良い唇になっているのだろうと思いながら口元に指を当てると、なぜか血が滲んでいた。

表題の、
  保父ならば時計を見てはをるものを父親我は妻帰る待つ
なんて狂歌を捻っている時に、
  「いてて、うえーん」
という泣き声。足の小指を押さえている、
  「どうしたの?」
と訊くと、台の角を押さえている。そう、誰しも経験する、「タンスの角に小指をぶつけてのたうちまわる」を体験していたのだった。
 先日と同じポリシーで、あまり子にべったりだと長続きするまい、と放任していると、台所でガタンという音。見に行くと、包丁の入っている戸棚を開けて中からお菓子を取りだして戸をこっそり閉めようとしたが内容物に押されて戸が開いてしまった音だった。そこの戸棚の開け閉めは厳に禁じている。強く叱らざるを得ない。前と違って、
  「ここ開けたらダメでしょ。ママにも言われているでしょ!」
前と違って、聞き分けられる力が付いて、泣きながら、うんうんとうなづいている。これが今日子を泣かした一回目。しかし、子は泣きながらまた戸を開いたのだった。手をぴしゃりとやるしかなかった。

 無茶をするのはストレスなのだろうか。朝は強烈に寒かったが、暖かくなってきた。外に連れて行ってやろう。準備を始めると子はいそいそと従い、私がズボンを穿くのにぐずぐずしていると、ベルトをつかんで引きずってきた。玄関から出て、三輪車を指さしたが、
  「歩いた方がいろいろ行けるよ」
というとうなづいて、階段を下りる。
 階段は、両手をポケットに突っ込んで降りている。危険だ。パパが悪い見本を見せているせいか。それにしても寒そうだ・・・・。あっ、着ているものが1枚少ない!もう1枚着せようと思っていて、子にせかされて忘れていたのだ。
  「寒いよね。もう1枚着るから戻ろう」
本人よほど寒かったのだろう、反対もせずに階段を昇り、服を着るともうポケットに手を突っ込まなくなった。外で寒そうにしている吾子の姿を初めて見た。

 15分ほど歩いた後、薬店に寄って、キティちゃんの入浴剤を買う。そのころから歩くのに疲れたらしく、行動が遅くなる。そして、
  「おもーい、さむーい」
と言う。おそらく、「疲れた」という言葉を知らないから、不快感を表す手持ちの語彙を並べたのだろう。
  「おぶ(おんぶ)する? だっこする?」
だっこを選択したので、抱いたまま、もう一件コンビニにより、チョコエッグを2つ買ってやる。支払いの間、立っているのがやっとの様子だったが、チョコエッグに希望を見いだしたらしく、
  「ひめ、ひめ(姫)」
と言いながらまっすぐうちに歩みだした。階段では足をもつらせながらも登り切った。
 イベントの前に手を洗わせる。手を洗う前に、うがいに没頭しはじめたのでしばらく好きにさせていると、
  ボトボトボト
見ると、コップを傾けて水を床にぶちまけている。すぐに制止していったんコップを直立させ、直後、
  ボトボトボト
とまたぶちまけた。確信犯である。そのくせ泣きながら、
  「パオ濡れた」
と、シャツの柄が他力で濡れたかのように言っていた。これが今日泣かした2回目。ちなみに、「姫」は出てこなかった。

 遅めの昼飯を食わせた後、昼寝するだろう、と体中に薬を塗る。指技は及ばなかったらしい。私が寝てみせることで子を眠りに引き込もうとしたが、子は寝室に寄ってこない。10分ほど泣きわめいて、
  「ほっちー、ほっちー(こっちー、こっちー)」
と寝室から出るように要求され、ついに根負けしてしまった。泣かした3回目。
 眠気を誘うべく、子の横でたらたらしている時に、予定より早く妻が帰ってきたときの子の喜びようといったらなかった。顔にパッと電灯が灯ったようであった。

 昼寝しなかった分、早く寝るだろうと早め早めに夜の準備を始めたが、さほどいつもと変わらぬ時間になった。寝付きは早かったが。昼間の罪滅ぼしに、妻の帰宅後はわりとたっぷり遊んだつもりだが、それでもまだまだ罪滅ぼしには足りない気もする。トイレには3度ほど一緒に行き、そういえば今日は朝起きたとき以外に濡れたおむつを交換した記憶はない。
 そうそう、「げんこつやまのたぬきさん」を演じてくれた。かわいかったなあ。おやすみ。明日もパパと一緒ですね。

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2002/2/12(火) →題名目次
ワンワンおてて 生後858日(2歳4カ月4日)

 妻が帰って先日と同じく子と一緒におにぎりを食べる。食後、眠くなった私は、「仕事の前にちょっと居眠りできたらなあ」と思うが、所詮見果てぬ夢、と思いつつ横になると、
  「パパねんね」
と言って、毛布代わりに私のスエットを持ってきてくれ、独り遊びを始めたようだ。なんて優しい・・・・。子が昼寝を始める時間に、例のバイバイで追い出されたが、ありがとう、パパはお前の優しさを一生忘れないよ。
 最近は、自分の毛布を、「ねんね」と呼ぶのから、「もふ」と呼ぶようになった。自分の毛布だから、「吾子、もふ」だが。

 夕方の仕事から帰宅すると、妻が、
  「ねぇあんたが描いたんでしょ」
と身に覚えのないぬれぎぬを被せられる。ビデオ「Blue' Clues」で重要なキャラ(?)と言える、Blue(ワンワン)の足形(おてて)が、青のインクで子の足首に描かれていたのだ。昼間、確かに何かに足形を描かされたが、確実に4本指で描いたはずだ。子の足首のそれは3本指。子が自分で描いたのにちがいない。夕方、妻がそれを発見して、
  「あ、ワンワンおててだ」
と指摘してから、靴下を履かなかったそうだ。
 本当に子が描いたかどうかは追試してみればわかる。子に、同じペンを渡して、
  「ワンワンおてて描いてごらん」
と言うも、何もしない。
  「あれ? 吾子が描いたんでしょ、こうだよこう」
と子の足に足形を描いてみせると、子はペンを手にとって、全然違う模様を描き始めた。そして、子の足は真っ青になってしまった。全然、足形を描く気配はない。
 ・・・・結局、こういうことだろう。子がペンを弄んでいる時に、偶然、子の足にBlueの足形の形に点が付いた、と。

 子は、私に、動物他の絵を描かせるのだが、例えば、「にゃんにゃん」と催促して私が描いている間、よそ見していたりした挙げ句、全然「作品」に目もくれないことが多い。したがって、子が、
  「にゃんにゃん」
と言ったら、
  「にゃんにゃんどうするの?・・・・『にゃんにゃん描いて』でしょ?」
としつけることにした。まだ、「描いて」とは言えず、何やらむにゃらむにゃらしか言えないが、それでも効果甚大で、描いている間、凝視してくれるようになった。

 動物の絵を見せて、名前を言わせたり、逆に名前を呼んで動物を指摘させたりするが、いまだ、「リス」や「カンガルー」は弱いし、「イルカ」と「クジラ(ホェール)」の区別も難しい。その遊びをしながら、間違いを犯したときも正解を教わって復唱できたら、
  「わー、偉いねー、吾子って賢いねー」
と言いながら頭を撫でてやるのだが、心なしか難度の高い動物の時には頭頂部が熱く感じられた。もしかして頭をフル回転させると湯気が出るって本当なのだろうか。

 ペンを両手に余るほど持った上に、紙を運ぼうとした。紙は、私が本の上に乗せて持ってゆこうとすると、子は、本の上に紙を置いて、その上にペンをすべて並べて、本に載せて運んでいった。

 ようやく妻の子を寝かせる準備が整いそうだ。それに合わせて、子の体に軟膏を塗ってやる。潰れる前の発疹用と潰れた後の発疹用と2種類区別しながら、一個一個丁寧に200箇所に塗り込んでゆく。こんなに人の体を隅から隅まで丁寧に見ていったことはないだろう。快復の祈りを込めて塗ってゆくうちに、子の目がとろんとしてきた。私の「指技」に、子は寝てしまったのだった。おいおい、上半身裸だぞ。でも、私が服を着せようとしても、脱いでしまう。
 結局は妻の助けを借りて、服を着せて、妻が寝室に連れて行った。それでも、お休み前のチューとキューは忘れなかった。よっぽど眠くてパパを追い払いたかったのだろう、ふすまをパパの目の前で自分で閉めていったのだった。

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2002/2/12(火) →題名目次
病院へは裏口から 生後858日(2歳4カ月4日)

 私が目を開けると、ほんのり明るい。妻、起きる予定を過ぎているんじゃ? 声を掛けたがはかばかしい反応はない。起きなくていいのだろうか、と思いながらも再び眠りに落ちる。
 子の、
  「ママー、ママー・・・・・、マーマ」
と言う声がする。返答がない。切羽詰まっていそうもない。やがて、妻の返事が遠くから聞こえる。まだ寝ていると思っていた妻はとっくに起きていた。
 妻のお出かけと前後して子の食事。結局は、パン3分の2、ビスコ2枚ほど、シリアルと、時間をかけて普通に食べた。
 気が付くともう病院へ行く時間。お出かけの用意を始めると、たいへん協力的。玄関から出ると、三輪車を指さしてわめくが、抱いて階段を下りると、おとなしくなった。ちゃんとセットしていなかった新しいチャイルドシートをセットして、病院近くの川沿いの公園の前に車を停めて、病院へ。子は、意外にもさっさと歩いてくれた。
 指示通り裏口から病院へ。指定5分前に着いたが、待ち時間なしも同然なので、何か悪いことをしている気分。
  「まだ治りきってませんね」
と先生がおっしゃるが、最初から1週間は見ているので、驚きもしない。どうもこの病気の問題は、病児本人よりも、他人にうつすことの方が問題なようだ。熱がなければ風呂は構わないし、外も、他の子供と接しなければよいのだそうだ。
 病院を出ると、なぜか車に向けて、子はいきなり駆けだした。ずんずん走る。一度転んだ。この元気を見ると、このまま帰すに忍びない。この川沿いの公園は、主としてイヌ連れがいるだけで、子供なんてかけらもない。しばらく遊ばせよう。
 陽の当たるベンチでしばらく過ごし、帰ろうとすると、川をずんずん遡り始めた。滑り台があった。ここまで来たのは初めてだ。かなり高い滑り台だが、
  「しゅーしゅ」
と言いながら滑り台を上り、総計5回ほど滑り降りた。砂場には入らないように言うと、逆に足を踏み入れた私を、
  「めっ」
と叱った。
 もううちを出てから1時間が経つ。無理に車に乗せてうちの駐車場まで戻ったが、家の方に向けて歩いてくれない。
  「こっち行こう」
と、家と反対方向を指すと、素直に歩いてくれた。
 コンビニ寄って、子の求めるチョコエッグを買ってやると、素直にうちに向かってくれた。どうも、箱に人魚姫が印刷されているのを見て、それが入っているものと期待したようだが、はずれで気の毒だ。
 うちに着いてしばらくすると、子が薬を自ら持ってきた。素っ裸にして念を入れて塗る。全部で約200箇所。塗りおえた頃、妻が帰ってきた。

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2002/2/11(月) →題名目次
そんなにつれなくしないで 生後857日(2歳4カ月3日)

 とっくに寝た吾子が夜泣き。実は、妻は所用で外出している。私がなだめに行くしかない。妻によれば、薬を塗れば大丈夫だろうとのこと。
 ところが、私を見ると、
  「ママーママー」
と泣く。ママはいないからパパが、と言っても、泣きじゃくり、それどころか、起きあがって部屋の隅に逃げ込む。スキンシップを図ろうと抱き上げると暴れる。しかたなく横たえると、バイバイバイバイして私を追い払うのであった。連れションする仲だと言うのに!
 諦めてふすまを閉めると泣き止んだ。パパに侵入されるくらいならガマンしたほうがよい、という風情である。

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2002/2/11(月) →題名目次
頑固比べ 生後857日(2歳4カ月3日)

 昼寝直前に私の朝食からカルビをがつがつ奪って食べる。
  「にくー、にくー」
と言いこそしないが、飢えた中学生みたいだ。
 昼寝から起きて、妻が買い物に出かけている間に(いやに帰りが遅い)、子が私のスラックスを指さして唸り出す。「穿け!」と言っているらしい。もしや・・・・。
 次には自分の上着を取る。やはり午前中の散歩に味をしめたらしい。午後4時半。ひところに比べて日も長くなった。帰宅してきた妻と遭遇したら回収して貰えるだろう。玄関を出たら、思ったとおり三輪車にしがみつく。
 なるべく近所で、と思ったが、三輪車に乗り慣れた吾子のスピードは速い。カギを掛けずに出た我が家が遠くなる、したがって帰宅してくるはずの妻が見えなくなる。
 角を曲がると小汚い公園がある。かつて、子が立てこもって出てこようとしなかったいわくつきの公園で、それ以来近寄ったこともない。懸念したとおり、中に入りたがった。しかし、時間も経ち、日も暮れかけ、寒くなってきた。
  「ママが帰ってくるから帰ろ」
と、三輪車の方向を転換させる。子は、公園の方に向け直す。
  「寒いから帰るの!」
子は、それでも方向を転換させず、三輪車に跨ったままだだをこね始めた。事は健康に関する。屈するわけにはいかない。
 子が静かになったので、私も黙って背後から見ている。寒風を背中に浴びながらフードを被ってうつむいた吾子の表情は見えない。その間5分近くか。
  「ふん。・・・・ハナ」
と言って私を振り返る。
  「帰る? 帰るんなら拭いてあげる」
子は、うなづいて、三輪車の方向を転換した。
 うちに向けることには成功したが、その後もしぶとかった。公園に行かなければよいのだろう、という理屈か、うちの近くまで到着したら、別の方へ行こうとしたり、三輪車を前の置き場に置こうとしたり。
 帰ると妻がいた。子の体は冷え切っていたので、私が一緒に風呂に連れて入る。風呂も久しぶりだから、なかなか出たがらなかった。

 子と遊んでいるあいだ点きっぱなしになっていたTVを指さして、
  「あ、『ゆ』!」
と言う。TVでは、NHK教育が、中高生のうつ病についてセンセイが解説しているだけ。
  「ん?ん?『ゆ』ってなあに?」
ドドドド、とTVに駆け寄って指さしたところには、テロップに、「ゆったり休養をとる」とあった。ニークな字体は記憶に残りやすいのか。

 ほとんど子とべったり遊んでいると、妙にテンションが高くなることがある。昨夜、子にせがまれて例によって絵を描いていたが、すでに印刷されているメロンパンナちゃんとバイキンマンの絵に描き足して、「変な顔」にしてみた。よく国語の教科書や歴史の教科書に出てくる人物に髭を生やしたりするヤツ。これが我ながら傑作で、私はケタケタ笑い出した。子は、なんだかわからない、という顔をした後、絵より私が可笑しかったのだろう、一緒になってケタケタ笑ってくれた。
 絵はいい。しかし子と遊んでいて思わずダジャレが出た時はバツが悪い。子に理解してもらえるはずもないし、万が一妻が耳にしてでもいたら、
  「ふん、オヤジ」
と鼻でせせら笑われるだろうから。

 寝る直前、レゴブロックで一緒に遊んでいた。子のテンションがだんだん低くなり、目をこすりはじめる。
  「さあ片づけよう」
と言ってブロックを仕舞い始めると子も同調してくれた。
  「ちっち行こうか」
と促すと、黙って立ってトイレへ。今日は、私とでないとトイレでちっちしないそうだ。
 と、ここまで来ても、寝るのは妻とでないとダメ。バイバイで私は追い出されてしまいました。

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2002/2/11(月) →題名目次
久しぶりの外出 生後857日(2歳4カ月3日)

 妻は痒いせいだという。何度も夜泣きをした。そのたびに薬を刷り込むのだが、この薬は即効性があるのか、それで泣き止む。
 9時前に子に起こされる。シリアルを用意したが、
  「パン! パン!」
のコールに負けた。6枚切りの4分の3は食べた。白いところも。
  「いちゃ!」
と言うのでなんだろう、と思ったら、「お茶」のことだった。ただ、飲み物のお茶というよりも、子の常用のキティちゃんマグのことを指し、
  「いちゃ!」
と言って水を汲ませ、歯磨きに用していた。
 天気もいい。そんなに寒くもない。妻は起きてこない。子はしゃかりきに元気だ。おそるおそる散歩に出かけることを決意する。
 外に出た瞬間に、三輪車を指さす。ああ、子の心の中には、
  「次に出かけるときは三輪車!」
という約束が刻印されているのだなあ。
 三輪車で近所を一周するのに1時間ほど掛けた。三輪車を漕ごうとするが、座席からペダルまでが近すぎてうまくいかず、ずっと足で地を蹴って進む、発明当初の自転車みたいな進み方であった。
 行きつけのガソリンスタンドを通りかかると、店長代理(ここんとこ、例の「JAF」の件で急接近した)が、販促品のヒヨコのぬいぐるみ(?)をくれた。すかさず籠に入れた子は、よっぽどうれしかったらしく、途中、何度も籠から取りだしては、
  「吾子のっ!」
と私に見せつけた。

 昨日書き忘れたが、一昨日買ってきたホネの玩具に、子は怖れながら関心を持って、昨日は妻の指導で、キックをかましていた。子が、
  「ホネ」
と言うたびに、
  「持っておいで」
と言っていると、最初は首を左右に振っていたが、ついに箱ごと持ってくるようになった。それで、
  「中から出す?」
と訊くと、これも最初は首を左右に振っていたが、ついに好奇心に負けたらしい。
 しかし、電池仕掛けで体を左右に手足を上下に振り立てながら不気味な歌を歌う骸骨に、子は怯えきってしまい、離れたところに跳びすさって、遠巻きにおそるおそるのぞき込むだけになってしまった。あんな顔の子は見たことがない。
 それでまた箱に戻されたのだが、今日はその箱に、パンを与えたり、
  「ホネ、いしいし、キュー」(=ホネ、よしよし、キュー)
と言って抱きしめたりしていた。箱からの再登場は肯んずるにいたらないが。

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2002/2/10(日) →題名目次
超能力者吾子 生後856日(2歳4カ月2日)

 元気である。狭いうちの中に一日置いておくのが気の毒なくらいに。熱は、37℃を越えない。しかし、発疹は50箇所はあるだろう。目立たないが、目の上とか唇の脇にも。塗り薬を塗る間、鳥肌を立てながらも静かにじっとして耐えているのがすごい。治療だという自覚があるのだろうか。左人差し指の爪の横にできた発疹が潰れたのだけは、「痛い」と言うが、他は、平気なようで、掻きむしったりもしない。
 朝から、三輪車の写真を見て、外に出たがって泣きわめいて困った。空腹だったのもあろう。私ではパンしか食わせられなかった。外が暖かければ外出も選択肢にあったが、一瞬だが、粉雪が舞うような気候。文字通り泣いてもらった。
  「とーとーとあーぱーまー」
と歌いながら手遊び歌。ただし、片手に芯の出たシャーペンを握っていたので、手をたたき合わせた瞬間、手のひらの腹に刺さってしまった。キズはなし。いつもシャーペンは危ないと言っていたのがわかりましたか?
  「えっとー」
と言って腕組みをするので、何をするんだろう、と思ったら、
  「ぴょんぴょん」
と言って両手のひらをこちらに向けてウサギのまね。どうやらこれも手遊びのひとつらしい。他の演目として、
  「あーぱーまん」
  「おにー」
がある。オニは、2本角を立てるのと、縦に人差し指を重ねて長い1本角を立てるのとのバリエーションがあるが、「ママ」「パパ」も2本角を立るのはなぜだ。「ママ」の時には言い得て妙だと思ったが。
 睡眠時間の足りない私が、昼間ひとりうとうとしてると、
  「パパねんね」
と言って眠りを妨げないでいてくれた。妻も洗い物で忙しく、放置された吾子はひとり、動物絵本やアンパンマン絵本を見て静かにしていたようで、居眠りでもしているのかと心配で何度も起きあがって確認してしまった。眠った気がしない。
 子も昼寝をして起きて、アンパンマン絵本を広げて、登場人物の名を私に言わせる。アンパンマンのイヌにも名前があるようなことを妻が言っていたが、思い出せない。
  「えっと、これはアンパンマンのイヌ。名前はあるけどとにかくイヌ」
  「チーズ・・・・」
子に教えられてしまった。
 寝る前、おしめを引っ張り出す。おしめに2種類あり、常用はパンツ型、大便の時はシール型。後者はだから一日一枚使うかどうか。今日引っ張り出したのは後者で、そのおむつには、開いたお腹の所に、動物の絵柄が付いている。そのおつむを開いて、動物の名前を確認している。何枚か見ているうちに、気が付いた。
  「めーめ」
そう言われて開くとヒツジの絵。子は、開く前から中の絵を当てるのだ。1枚だけではない。立て続けに4〜5枚。超能力!
 ・・・・実は、おしめの縁取りの色が、絵によって違っているのだ。だからといって、なあんだ、で済む話ではない。めったに使わないおむつの、縁取りの色と中の動物の絵とを関連づけて覚えているのだ。これをすごいと言わずしてなんと言おう。ちなみに、中に、リスだのイルカだの、まだ名前を覚えていない動物が描かれているときは、むにゃむにゃ言って聞き取れなかった。

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