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吾子の成長記(ako052.html)

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2002/3/28(木) →題名目次
吾子と転園について語る 生後902日(2歳5カ月20日)

 今日は朝の横浜での仕事に加えて、午後に大船での仕事が加わる。私の与らない事情から、開始が遅れ、従って終了も遅れたので、3時過ぎには車上の人になっているはずが、ホームに駆け下りたのは3時25分過ぎ。目の前で東海道線が出てしまい、40分の湘南ライナーを待つ。
 横須賀線電車のドアが閉まらないとかで、17分遅れで恵比寿到着。湘南ライナーから山手線に乗り換えるのに、恵比寿が一番便利なのだ。
 地元で新たなコンタクトレンズ店に行く。付属の眼科の診断が必要なことから、普通の買い物のようには行かないものだが、向こうの手際の悪さが重なって、異様に時間が掛かってしまった。10分くらいで終わる、と言われたものが、1時間近く掛かった。
 そういう不幸を抱えたもので、子との触れ合いの時間が1時間半ほど減少してしまったのが、遺憾である。

 最近、洗髪に協力的だ。お湯を頭からかけさせてくれる。ずいぶん入浴が楽になった。
 食後、私が寝そべっていると、私のパンツを引きずり降ろして尻をペンペン叩く。自分も叩いて欲しくなって、ズボンとおむつを下げて尻をむき出した。柔らかい桃のような尻を軽くペンペン。
 妻の入浴中は二人だけ。子が、輪ゴムを欲しがったので、5〜6本渡しておいた。ジュースのおまけが2つほどスーツのポケットに入っていたのを思い出して渡す。
 なんだかまったりして雰囲気になったので、子に話しかける。
  「吾子、こんど保育園替わるんだけど、知ってる?」
首を強く左右に振る。いかん、ショックだったかな。
  「このあいだ(卒園式)お兄さんやお姉さんがいなくなったでしょ? あれは別の所に行ったんだ。吾子も同じで今の保育園からいなくなって別の保育園に行くんだよ。ほら、パパと一緒に行った、アップン(さかな)の目がボタンになっていたおもちゃのあったところ、あそこに行くんだ。」
子、うなづく。
  「楽しみ?」
またも、子、うなづき、アップンの連想からか、マンボウの話をしている(らしい)。先日のTVで、マンボウが水中から空中へジャンプする姿が印象深かったらしく、
  「マンボウ、ジャンプ」
と言っていた。あと、一緒にマンボウを見た時の「こわい」という印象も話していた(と思う)。
 妻が風呂から出てきた。先ほどの会話内容を話し、子に因果を含めたことを言うと、
  「もうだいぶ前からさんざん転園のこと言い含めてあるわよ」
あの、首を左右に振ったのはなんだったんだ!
  「あ、吾子、なんで輪ゴム持ってんの!」
  「吾、吾子が手を伸ばして自分で、と、とったんだ」
  「うそおっしゃい。届く分けないでしょ。パパが取ったんでしょ。メッ!」
子も便乗して、
  「パパ、メッ!」
と言って来る。おまえのせいだろが!

 小さな---- 1 mm ほどの羽虫が弱々しげに吾子の目の前を歩いているのを子が見つけた。
  「こあい! ないない!」
あんな虫でも怖がるんだなあ。虫は窓外に追放された。

 寝室で、子が妻にしきりに語りかける声がしていたが、間遠になった。まもなく眠りに落ちるのだろう。おやすみ。明朝は会えるよ。

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2002/3/27(水) →題名目次
吾子、突如出現 生後901日(2歳5カ月19日)

 昨日が最後のお迎えだと思ったら、今日もお迎えにあがることとなった。昨日のしみじみは空振りであった。
 昨日、妻から、子はカッパを来て行ったとは聞いていたが、そのカッパが保育園にあるのか持って帰ったのか聞いていなかった。そのうえ、子のカッパがいかなる色のものかうろ覚えだった。したがって、子のカッパとおぼしきものを手にして、何度も子に確認した。
  「このカッパ、吾子の?」
 今日は、カッパに傘まで持って行って、両方とも保育園にあることを確認しておいた。ご丁寧に、カッパを掛けてある位置まで。傘については、今日が室外デビューで、ずっと室内に置いてあったから、見慣れている自信があった。
 昨日はわずかに待ち時間があったので、心持ち遅めに行く。最近は自由保育で、玄関の人だかりが少ないが、今日は私の他にはひとりしか待っている保護者がいない。
 カッパの位置は知っているから、傘を探そう。玄関前の傘立てに十数本の傘が立っているが、どうみても吾子のものはない。充分に時間を掛けて一本一本あらためた。・・・・ない。さぞ、子が落胆するだろう。もしかして、玄関の中にも傘立てがあるのかも。玄関を入ると、すぐ手前にあるすのこの一番入り口際まで吾子がいつのまにやら来て立っていた。荷物を持って。
 ふつう、1、2歳児は保母さんが直接受け渡してくれるのだが、保母さんは影さえ見えず、吾子の姿しかない。何がなんだか分からないが、おそらくもう2階から降りてきていて、私を発見した保母さんが子を送り出したものと見える。ただもう驚いた。なお、傘は玄関内にありました。

 風呂には水温計があるのだが、2℃違えばこんなにも体感温度が違うのかと驚かされる。昨日は熱めだったので、子もすぐに出たがった。今日は昨日より2℃も低くないのだが、ぬるく感じられ、子もずっと浸かっていた。

 最近、子はご飯をまじめに食べない。今日は両親の叱責で、夕食中に3度は泣いたな。1度は私が、
  「ご飯食べないとあとで遊んであげないよ」
と言っただけで、破顔一笑ならぬ、「破顔一泣」になったのは少し驚いた。そんなにパパと遊ぶの好きかい。で、その後、まじめに食べたかというとそうでもない。

 レゴブロックでひとり遊ぶ。ただ、間近で私は見ている義務があったが。ブロックをいくつか組み合わせて、上から見るとサイコロの6の目のようになっている。1つのブロックと新たなブロックとを取り替えて、元のブロックをその隣のブロックと取り替えて、隣にあったそのブロックをさらに隣のと取り替えて・・・・と、えんえん、ブロックの交換をしていた。その後、「電車」と称して、ブロックを横に並べて、
  「いのしし、でんしゃ。いのしし、でんしゃ」
といいながら、イノシシの電車として走らせていた。こういう奇妙に静かなときは眠い証左である。
 寝る直前には、ディズニーのビデオを静かに見ていた。もはや傘を室内に持ち込めない現実を知って、泣きわめいたがいたしかたない。
 今朝も寝顔をちらりとしか見えなかったけれど、明日もそうなるだろう。迎えには行けないが、また夜遊ぼうね。おやすみ。

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2002/3/26(火) →題名目次
最後のお迎え 生後900日(2歳5カ月18日)

 朝から雨である。今朝は、妻子とも、私が出勤したのも気付いておるまい。雨のせいか、子は保育園に行きたそうになかったという。雨であるし、妻が不調で寝ている隙に、車で迎えに行く。
 たぶん、今の保育園への最後のお迎えだ。ちょっとしみじみする。
 時間だ。2階で整列させている声がする。今までそんなことはなかったが・・・・。
  「今度2歳児クラスになる人は○○先生の後ろに並んでー。Tカちゃんが先頭ねー」
新年度の準備が始まっているわけだ。子は、誰の後ろに並ぶのだろうか。
 心配をよそに、新2歳児の3番目に降りてきた。カッパを来て、私の傘を奪って歩き出す。すれ違ったお母さんがたが、
  「かわいいー!」
といってくれた。遅れて迎えに来たTカちゃんのおばあさんが吾子に手を振る。

 帰宅したが、妻は寝ているようだ。玄関が巨大なゴミ袋でふさがっている。子を入れるために、片手で抱き上げて靴を脱がせ、ゴミ袋越しに玄関に降ろそうとしたら、
  ごん!
  「いてててて・・・・」
横抱きの姿勢になった吾子の頭が、玄関の入り口に当たる音だった。ごめんね。

 「なぜなにQAとり」をデビューさせる。他の、「どうぶつ」「さかな」「むし」すべて持ってきて、
  「にゃんこどこー?」
と私に問いかける。当然「どうぶつ」に載っているのがわかっていると思ったが、そうではないらしい。のちに、ネコを見つけて、写真のネコの姿態をことごとくまねてくれた。特徴をつかんでいて面白かった。

 トイレに行こうとしたら、例によって子が先取りした。ただパパを越したかっただけで、実際には小便は出なかったのだが、便器に跨って、うんうんいっているときに、
  ぷっ!
と(子が)放屁した。その音が面白かったようで、二人して、口で、「ぷっ!」「ぷっ!」と鳴らし合ってその後も楽しんだ。あとで何度も思い出しては、私に、
  「ぷーしたねー」
と話しかけてきたが、どうか調子に乗って外でしないでほしい。新保育園でそれをやったら鮮烈なデビューとなるだろう。

 布団の上で遊んでいると、いきなり、
  「ジャーンプ!」
といって横になっている私の脇腹を飛び越えて、五体投地しはじめた。まったくチベット仏教ではあるまいし、危険きわまりない、と思っていたら、鼻から落ちてのたうち回っていた。

 子の従妹の保育園に、チューといえば誰にでもディープキスをする子がいるらしい。そういえば、最近、子とディープキスしていない。
 子は、掛け布団を腰に巻いて、「ひめ」に扮装するのが好きだ。ヨーロッパ風のドレスのつもりなのだ。私が、
  「パパ、王子さま?」
って訊いたら、
  「パパ、王子さま」
っていうんでほくほくしてたが、うっかり、「との」ということばを発してしまったら、「との」になってしまった。なんか違う。
 それはそうとして、そのまま二人で布団を被って遊んでいるとき、チューを交わしていたのだが、久しぶりに舌先を押し込むと、顔ごと押し返されてしまった。ちっ。

 例の「ホネ」の模型は、箱に入れられたままで、時々ふたを私に少し開けさせては顔を見たがるくらいで、それ以上出そうとすると、
  「ないない!」
と仕舞わせるのだが、今日は、20分ほどの時間を掛けて、ホネに馴れさせることに成功した。
 まずは、ちょっと顔を出して、私が「よしよし」してやると、子も、同じようによしよしした。これで触れるのに抵抗はなくなった。
 そんなふうにして、箱の縁まで全体を引き出すことに成功し、最後には、箱から取り出すところまでいった。もう大丈夫だ。
 まあそこでやめておこうと思ったのだが、いたずら心の疼きは止められぬ。スイッチを入れて踊り出させてしまった。飛びすさる吾子、顔は恐怖にゆがんでいた。
 子の命で、戸袋に仕舞われたのだが、その後、ホネのダンスを真似ていたところを見ると、復活も近い!
 かくて寝たのだが、悪い夢を見なけりゃいいが・・・・。私は、フリーマントルの新作「待たれていた男」の上巻を読み終えたところ。昨年も同時期読んでいたから1年ぶりの待ちかねた作品だ。間にもう1作出ているのだが、それはルポルタージュであって、スパイ小説ではないので読んでいない。下巻も明日には読み終わるかな。

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2002/3/25(月) →題名目次
桜並木を行く 生後899日(2歳5カ月17日)

 神田川沿いの桜並木で妻子と待ち合わせる。子は、遠くから私を見つけて走ってきて、声が届く距離になると、
  「はな! はな!」
」ではなく、「」、鼻水を拭いてくれであった。ごあいさつですこと。
 子を受け取ってb>桜並木を行く。ほろほろという感じで、花びらだけでなく花房ごと落下しているが、まだほとんど散っていない。美しいなあ。使い切りカメラを持ってきたのだが、予想通り子も、
  「カメ! カメ!」
とカメラを求めて撮影のまねごとをしたがる。そこはぬかりがない。カメラは2台持ってきていた。
 子は、パーカーのフードを被っているので、海の妖精クリオネみたいだ。浮かれているらしく、股を左右一杯に広げて、そのままの格好で走っている。魯迅の小説「帰郷」に出てくる、元とうふ屋小町の「コンパス」おばさんのようだ。
 橋を渡ってネコのいる方に行こうとしたら、ずいぶん前に自転車で走り去ったはずの妻がやってきた。家のカギを持たずに出てしまったのだそうだ。よく我々のいるところがわかったな。
 残念ながらネコはいなかった。ひとしきり騒いで、諦め(させ)てその場を去ったが、未練たらしく再び戻ってきた。ネコ、いるわけない。と思ったら、頭上から声が。例の美輪明宏似のおばあさんが、我々の所在を知って、わざわざネコを二階のベランダに連れ出して、手を振らせてくれていたのだ。子に、
  「ニャンニャンにヤッホーは?」
と促すと、
  「ニャンニャンこっちー!」
と地上の指定席を指さして降臨させようとしている。なんと厚かましい。お礼を言いながら早々にその場を退散したのは言うまでもない。

 うちの近くまで抱っこしてきて、降りたがるので降ろしたが、そこからはなかなか歩が進まない。急に子が真上を見上げて指さし、
  「くも!」
という。雲なんか珍しいんかい、と思って見上げると、一条の飛行機雲がたなびいていた。よく見てるなあ。

 迎えに出る前にこれ見よがしに床に置いておいた、「浦島太郎」絵本を帰宅するなり発見した。ストーリーそのものよりも、魚たちの絵の方がお気に入りだ。タコやらイカやらエイやらの特殊な魚類の名を確認した。
 帰ってすぐからおむつが濡れている様子だったが、替えさせてくれないのでのんびり構えていた。テーブルにもたれかかってうなりはじめたので、「うんこかなあ」と思ったが、本人が違うと言い張るのでそのままにしておいた。しばらくして、
  「ちっち出たー」
というので替えようとしたら、急に言を翻し、
  「うんちん」
という。真偽が分からないので、両対応の準備をして見ると、大便の方だった。これが手に負えない大便で、温めていないボンカレー状のペーストで、我が手など至る所に付きまくって往生した。

 食事中、TVにマンボウが出てきた。
  「まんぼう!」
ちゃんと覚えているんだなあ。かつて、千葉の稲毛で飲み会があって、あいにく行けなかったのだが、その時マンボウの刺身が店にあったそうだ。食い損なって遺恨に思っている。

 寝る前は、昨日と同じく、「タコ」で遊んだ。これは子にとっては激しい運動で、汗だくになったが、こちらは坐っているだけなので楽でよい。
 ベビーベッドの金属柱にスプリングが巻き付いているが、これをうまく回転させると、金属が小気味良く擦れ合う「シュルシュルシュル」という」音を立てて、金属柱に巻き付くようにゆっくり降りてくる。子は、昨日からその回し方のコツをつかむのに熱心で、今日はずいぶん上達した。五分五分でうまく行くようになった。

 散歩もしたし、そのように寝る前に疲れたのだろう、さっさとおやすみになりました。今日はいい夢見ろよ。変な寝言を口走らずに済むように。

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2002/3/25(月) →題名目次
起きられません 生後899日(2歳5カ月17日)

 ・・・・なぜなら、私は5時10分に目覚ましをセットして起きる予定だから。

  「あっ、いや!」
子の声で目が覚める。明るさから見ると5時頃か? 時計を見ると、どんびしゃり。どうやら寝言らしい。母子共に寝言がお盛んなことだ。
 また寝たかなーと思うと、
  「じゅちゅ」
ジュースを欲しがっている。妻、対応してくれ。・・・・息を潜めていると、どうやら飲ませたみたいでまた静かになった。5時10分に目覚ましが鳴るのは都合悪かろう。目覚まし解除。これで子が二度寝したことが確認できれば起きよう。それまで起きられません。
  「きえん、きえん!」
今度はクレヨンを求めている。いかん、まだ寝言モードだ。これではいつ目を覚ますことやら。
 出勤時間を遅らせることにした。なんとかなるだろう。6時に目覚ましをセットして、二度寝する。

 6時。どうやら母子を起こさずに済んだようだ。こっそりと部屋に入って衣服を取り出す。これがあったから、子が熟睡している必要があったのだ。見ると、子は、横になって寝ている母親の脇腹に背をもたせかかって坐ったような格好で、両足を広げて寝ていた。

 妻によると、数日保育園のお休みが続いたせいか、お出かけする気はまったくなさそうだったとのこと。もちろん、私の不在を残念がっていたという。

 これから徒歩で子を迎えに行く予定だったが、急遽、変更になった。妻が迎えに行き、途中で出会って私が子を引き取って二人で散歩しながら帰るということに。それじゃあ行ってきます。黙契暗黙の約束に従って、「新・講談社の絵本 浦島太郎」がキミを待っているよ! パパ、帰りに買ってきたから!

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2002/3/24(日) →題名目次
仮想動物園 生後898日(2歳5カ月16日)

 帰宅するとまだ私の姿が見えないうちから、
  「パパ、ほっちー(こっちー)!」
声を掛けてくれたのは嬉しいが、欲をいえば、呼びつけずに迎えに出て欲しかったよ。

 子が、
  「ピーピ、ピーピ」
といってベビーベッドの角を指さす。鳥なんていないのに?
 ふと、思い出した。今朝から子が創出した遊びなのだ。名付けて「仮想動物園」
 発端は、子がベビーベッドの下を指さし、
  「あ、ニャンニャンだー。いしいし(よしよし)」
と見えないネコをあやしはじめたところから。どうやら、ネコがいることにしているかそれとも子には見えているか。ベッドの下の右側にはネコがいて、左側にはイヌとウサギがいる。ベッドの上の角には、小鳥がいて、その上にはフクロウが止まっている。小鳥をあやすときには抱き上げてやらなければならないのだ。窓際のカーテンは、ゾウの赤ちゃん。なるほどスケールはそれくらいだ。すると、動物園で実物を見てきた時の印象は残っているようだ。
 窓の外は春風が強くて洗濯物が揺れている。お化けに見えるらしく、抱っこして窓際に連れて行こうとすると怖がった。
 「なぜなにQAどうぶつ」を持ってきて、ネコのページを開き、仰向けになったネコの写真を見ながら、同じ姿勢をとって、
  「ニャンニャン、ニャンニャン!」
といいながら真似をする。手がちゃんとネコ手になっているところが芸が細かい。

 私が、
  「パパ、ちっち行って来るねー」
というと、
  「吾子、ちっちー」
といって順番を先に奪う。せっぱ詰まってトイレに行くのは危険だ。子がおしっこをしたあとで換わって貰う。
  「今度はパパがちっちねー」
  「あ、うんちん」
指さし指摘。ばれてしまった。

 トイレのドアが閉まっている。もちろん無人。子は、戸をノックしながら、
  「あかちゃい」
といっている。「開けて下さい」の意であるようだ。

 ボールを赤い毛布でくるんでタコをやる。今日もタコとよだれを垂らして遊んだが、タコを枕に乗せて、
  「タコ、ねんね」
といいながらよしよししている。そして、「いないいないばあ」という本を取りだし、タコに読んでやっていた。
 妻の向こうを張って、私もお話ししてやろう。
  「浦島太郎のお話をするよ」
・・・・無反応である。
  「じゃあ、タコに桃太郎のお話をしてあげよう」
急に子は私の脇を離れて、隣の部屋に行き、
  「ままさん、ままさん」
と叫んでいる。妻の所に行ったのかあ。まるでうちはスナックにでもなったようだ。・・・・しかし、それに応える妻の声は子から離れた位置から聞こえる。妻が子の様子を見に行くと、「ままさん」は実は「ももさん」で、「ももたろうさん」の本を妻に取ってもらって私の元に持ってきた。ちゃんと「桃太郎」の話をパパがしようとしているとわかっているじゃないか。
 まあ適当にページを子がめくるのでストーリー順序は無視して話をしたが、本の裏に他の昔話の本の表紙写真がある。子が、
  「ほしー、ほしー」
という。
  「一番欲しいのは?」
どうやら次は浦島太郎の話がお望みであるようだ。
 ところで、私の桃太郎話を聞きながら、子は鼻くそをほじっていたが、収穫があったらしい。その鼻くそを私の頬に塗りつけた。

 今日は、母子で桜並木を散歩して「せせらぎの里」公園まで足を伸ばしたそうだ。それと、タコとの格闘で疲れていたのか、けっこうあっさり眠りに就いた。明朝は、今朝のように思いもしない時間に子の声で目覚めて睡眠が断続状態になることはないだろう。なぜなら・・・・(以下、次号)。

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2002/3/24(日) →題名目次
寝顔は見せたくない 生後898日(2歳5カ月16日)

 昨夜の寝物語は、「北風と太陽」だったそうだ。妻が、
  「そこで北風が、ふーふー・・・・」
  「ふん、ふーん」
子は、鼻水を噴き出し、話は中断されたそうだ。

 たぶん5時頃だろう、子が、
  「ママ、・・・・マーマ」
と控えめに妻に声をかけている。
  「・・・・」
妻、起きる気配なし。子、あきらめたらしく、静かになり、私も再び眠りに落ちる。

  「ママ、・・・・マーマ」
しばらく経ってまた声をかけている。こうした一方的なやりとりが3度目になった。
  「ママ、・・・・マーマ」
  「むしゅむしゅ」
  「ママ、じゅちゅ」
やっと妻がリアクションしたようだ。喉が渇いた吾子がジュースを求めていたのだろう。風邪を引いたと思われる妻に記憶はないそうだ。

  「あー、もぅっ!」
6時頃だろう、家中を揺るがす大音声に、私は眠りランドからいきなり召還された。すわ、何事か。
  「zzzz・・・・すーすー」
・・・・妻の声も吾子の声もしない。寝言だったのだろうか。それにしても吾子はよく目が覚めないものだ。図太いのか、それとも気を失ったか。また、あんな大声で寝言を言うと、ふつう目覚めると思うが、妻もよく目覚めなかったものだ。

 妻の目覚まし時計が鳴る。たしか7時にセットすると言っていたな。
・・・・目覚ましの音は誰にも止められることなく、鳴り続けて天命を終えた。子も、静かに寝ている様子だ。

 私の目覚ましは7時半にセットしてある。うとうとしていると、ガラリとふすまが開く。7時25分だ。妻と子のどちらが出てきたかで、あと数分よけいに眠れるかどうかが決まる。
・・・・異様に陽気な吾子がいた。私に寝顔を見られたくなくて早起きしたのだろう。朝から「なぜなにQAどうぶつ」を広げて、
  「にゃんにゃんどこー?」
と話しかけてくる。しばらく遊んで、私は出勤準備をしなければならない。
  「パパ、ちっち行くね」
トイレから出て、一服してから遊ぼうと企てていたのだが、私がトイレから出るまで待って、出るやいなや、
  「パパ、ほっちー(こっちー)!」
と呼びたてる。
  「ちょっと待ってー」
といって一服を続けるが、だんだん泣き声が混じってきた。あわてて様子を見に部屋に飛び込むと、足を投げ出して座り、本を膝の上に広げたまま泣いていた。先日、耳鼻科で独りにしておいた不憫な数十秒間のことが思い出され、あわてて戻った。

 出勤準備が整ったが、なかなか離してくれない。「おすもうくまさん」を3度歌わされ、相撲を取った。
  「パパお仕事だよ、行って来るね」
本当に出かけると分かると、そっけなく、
  「バイバイ」
と手を振って背を向けた。妻が捉えて、抱っこして玄関でチューしてお見送り。

 うちを出てしばらく経って、所用で妻に電話。切る寸前、受話器の向こうから、
  「吾子もー、吾子もー」
と聞こえた。自分も出たかったのだな。ごめんね、切るのが早すぎたようだね。

 直後、こちらの電話が鳴る。出ると、
  「ふー、ふー、むふー」
鼻息だけが聞こえる無言電話。まあ吾子だろう。子の名を呼びかけたが、もし違ってたら変態さんは困ったろうな。でも、ちゃんと吾子でした。お互いの名を数回呼び合って、
  「じゃあパパいってきまーす」
  「しょっちー!」
たぶん、「いってらっしゃい」を表す吾子語だろう。はて?「いってらっさい」も言えたはずだが。

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2002/3/23(土) →題名目次
怪力吾子 生後897日(2歳5カ月15日)

 一昨日の春嵐にも桜は散らなかったようだ。花嵐。そして花曇り。
 昨日午前中は降雨があったが、どうだろう、雨くらいでは散らなかったのではないか。春霖「しゅんりん」、あるいは菜種梅雨「なたねづゆ」そういえば菜の花も咲いている。でも、もはや催花雨「さいかう」開花を促す雨ではない。
 今日は寒かった。花冷え。
 子供がいることで、桜の咲き散りに敏感になる。これまで気にさえしなかったのに。

 「なぜなにQAどうぶつ」
 「なぜなにQAしょくぶつ」
 「なぜなにQAとり」
  天津甘栗(1500円分)
・・・・以上が帰宅途次に購入したもの。あ、あとビール大瓶3本と缶1本(昨夜の補充分)。
 帰ると、まあいつものように、あまり感激を表に出さない。TVを見ながら背中で迎えてくれた。妻に促されてもチューもしてくれない。我々を見て、自分も唇を突き出してきたが。
 吾子はTVを見ていたが、「なぜなにQAどうぶつ」をこっそり袋から出して近くに置いてみた。・・・・気付かない。妻が入浴して、子を呼ぶあいだ、天津甘栗を十ばかり剥いて、皿に入れた。子は、食べないかも知れないが、無性に私が食いたくなったもので買ってきたのだ。子の口にひとつ抛り込むと、さほどうまそうにではないが食べるには食べた。私もひとつ食べて、2つ目に手を伸ばそうとすると、
  「吾子のっ!」
と皿を背中の後ろに隠す。しかたない、
  「パパにちょうだい」
欲しくて堪らないのに膝を屈して頼み込むと、ひとつだけくれて、あとは皿ごと隣室に置いてしまい、もうくれようとしない。そのとき、
  「あっ!」
「なぜなにQAどうぶつ」に気付いた様子だ。私は、すかさず手にとって、
  「くんかーん!(交換)」
私のセリフだ。かくして栗を取り返すことに成功した。

 なんだか浴室に入るのをいやがり、風呂からすぐに出てきた。今日は小児科に寄って、まだ少し喉が赤いと言われたそうなので、暖まらずに出るのを心配したが、妻が根負けしたようだ。
 入れ違いに私が入浴。風呂場の外で母子が遊んでいる。
  吾子:「おばけー!」
  どしん!
  妻:「ぎゃー!」
のちに聞くと、子の強い引きで、妻がよろけた悲鳴だったそうだ。
 すごい力だ。
 風呂から出て、三人でボール投げをして遊んだが、子は、ボールを取れたときより取り損なった方が楽しいようで、よだれを垂らしてギャハハハ笑っている。子と二人になって、そのボールを赤色系の毛布に包み、
  「たこー!」
といって子の腹背をくすぐる。その時の抵抗の力の強いこと。メガネの上から叩かれたときは、私も悲鳴を挙げた。
 その遊びの区切り頃、子が、平手で私をぱんぱん叩く。実際、痛いよ。実に怪力だ。
  「パパを叩いちゃだめだよ」
大人でさえ痛がりよろけたりする力で、同級生を叩いたら大変だ。たしなめると、吾子は、自分の頭を平手で2〜3回叩き、私の手を取って、吾子の頭を叩かせようとする。目には目を? 反省か? むろん、吾子を叩く事なんて出来ない。私の手が動かないと知ると、今度は私の手に、自分の頭をぶつけ始めた。もうあっけにとられてしまった。反省の気持ち、届きましたよ。

 今日はあっさり寝てしまった。明日も寝顔を拝ませてもらいますよ。
 なお、寝る前に、寝室から、私の掛け布団と毛布を同時に引っ張ってきてくれた。これも怪力。

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2002/3/23(土) →題名目次
久しぶりの寝顔 生後897日(2歳5カ月15日)

 7時半に目覚ましをセットしたが、その前に妻が起きていたので、私も起きてしまった。
 今日は、午後から横浜で仕事だが、例によって朝から出かける。
 さんざん寝るまでに手の掛かった吾子だけあって、8時過ぎにでかけるときもまだ寝ていた。そういえば、子の寝顔を見るのは久しぶりだ。なにせ、子を寝付かせるのは妻だし、その後「寝た子を起こす」所業をわざわざいたすこともない。起きるのは、私よりも子が先だ。久しぶりの寝顔。天使のようだ。それを置いて出勤する。そういうもの悲しい日々が戻ってきたのだ。

 そんな思いでうちを出たが、カギを忘れたのに気付いてとんぼ返り。出勤にケチがついたぜ。

 品川駅で東海道線を待っていると、向かいのホームに人だかりがして、尋常ならざる様子。駅員に聞くと、SL(蒸気機関車)がやってくるのだそうだ。汽笛が聞こえる。車両がゆっくり迫ってくるが、後退しているようで、機関車は見えない。それより早く、乗るべき電車がやってきた。結局、汽笛と車両後尾を目にしただけで、蒸気機関車を久しぶりに目撃する光栄に浴することはなかった。カギを忘れて災い転じたか、と思ったが、そうでもなかったわけだ。

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2002/3/22(金) →題名目次
寝なくて平気か?--パート2 生後896日(2歳5カ月14日)

 昼寝をしていないので、7時半とかに寝るんじゃないかな、と妻と胸算用していたが、時間になっても寝る気配は微塵もない。新しく届いた、ディズニーのビデオを見ながら横になっている時は、もしや、と思ったが、起きあがってしまった。目に隈も出来ていない。
 それでも、寝かしつければ寝るだろう。妻が9時から寝かしつけに入るが、隣で聞いてて、子の話し声、妻の叱りつける声がずっと聞こえてくる。ついに、妻はしびれをきらし、子は、
  「はよー!」
と姿を現す。
 ・・・・しばらく「なぜなにQAむし」を一緒に読む。子が名を知っている虫が出るたびに、こちらから歌を歌っていると、子が、虫を指さして私に歌わせるようになった。
  ・ハチの歌・・・・ブンブンブンハチが飛ぶ
  ・トンボの歌・・・・トンボのメガネは水色メガネ
  ・カタツムリの歌・・・・でんでんむしむしかたつむり
 ← てんてんむしと言い分けられない
  ・アリの歌・・・・アリさんとアリさんがごっつんこ ← 一部しか知らない
  ・チョウチョの歌・・・・チョウチョチョウチョ菜の花に止まれ
 リクエストに「てんてんむし(テントウムシ)」が出たときは、
  ・てんとう虫のサンバ
だが、「赤青黄色の衣装を着けたてんとうむしが踊り出す」のフレーズを思い出すまで時間が掛かって飽きられてしまった。

 その後、再び妻が寝かしつけにトライ。隣で聞いてて、全然寝る気配もない。しかし、妻の叱りつける声も聞こえない。妻も腹を据えたのかなあ、と思っていたが、話が止んで、3分も立たないうちに、寝かし付けを完了した妻が顔を出した(10時45分ごろ)。
  「おどして寝かしつけたのよ」
????全然叱る声はしなかったが???? 妻によると、こういうことだったのだそうだ。

 子に、昔話をしてやった。まずは「桃太郎」。しかし、途中で妻は話がわからなくなった。
   「続きはまた明日。・・・・で、次は?」
   「ピーパマン!」
妻は、ピーターパンの話をできないらしい。
   「ヒメの話にしなさい、ヒメの。おもしろいから」
と言って、リクエストを無視して、無理矢理「シンデレラ」の話を始めた。
 シンデレラは、12時過ぎると魔法が解ける。それを妻は脚色した。妻らしい・・・・
  「姫は12時過ぎるとホネになるのよ。それで慌てて帰ったんだけど、そのホネは、12時になっても寝てない子がいたら連れて行くのよ。ほら、そこの窓 ト横の窓を指すから吾子を連れに来るの。寝たふりしてもわかるから。ほんとに寝てないとだめなのよ・・・・もうすぐ12時よ!大嘘
  「ホネ・・・・こあい」
かくて、子は即座に眠りに就いたのだそうだ。「おどし」が功を奏したわけだ。なんか気の毒だが、笑いを禁じ得ないのであった。

 ※ 実は、最初の寝かしつけが始まったときから、枕元にビールを持ち込んでこっそり飲んでいたのだ、カーテンのむこうにビールとジョッキを隠して。子が、いったん起き出したとき、カーテンの方に行こうとする子を必死で押し止めた。2度目の寝かしつけに寝室に行くときに、子は、枕元の栓抜きを見つけて、
  「あっ!」
という。
  「早く行きなさい。ママが待ってるよ」
  「クロ、クロ!」
栓抜きは黒色なのだ。
  「もぉー、早く。おやすみ、バイバイ、じゃーねー、ぐーぐー」
・・・・妻は気付かなかったが、目ざとい吾子に隠し事はできない。

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2002/3/22(金) →題名目次
寝なくて平気か? 生後896日(2歳5カ月14日)

 2時から昼寝をさせようとして、4時前に断念。私も便乗して眠るつもりだったのに、子が蠢く音や妻の叱りつける声で、浅い眠りの反復となってしまった。妻が気の毒で、私も2度、隣の部屋から
  「吾子っち、寝なさい」
とドスの利いた声で圧してみたら、その時は静かになるので、おー、利いてる利いてる、と思ったのだが、その場しのぎでしかなかったようだ。

 届いたビデオ(Blue's Cluesと日本語版ディズニー)の一部を見せているのだが、今頃(6時頃)になって、だらだらしはじめた。眠いんだろうなあ。
 今回、マシンが壊れて、修理を試みたのだが、音声が出なくなった。私自身はあまり困らないのだが、Blue's Cluesの音を聞かせられないのが悲しい。子が、マシンを指さして、
  ア・クルー!
といって音をねだるのがもっとも寂しい。
  「ごめんね、壊れちゃってもう音が出ないの」
というと、神妙にうなづくのだが、また同じようにねだられる。痛いところを突かれまくりという気持ちだ。

 ・・・・ところが、不思議にも、急に直って音が出るようになったのだ!(8時半) 「愛」の力か! 子の目の前で修理を試みたのだが、ちょっかいは少々出すが、見守ってくれた。そして、
  「直ったかなあ?」
と訊くと、
  「うん!」
と力強くうなづいてくれた。そうしたら、ほんとうに直っていたのだった!

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2002/3/22(金) →題名目次
中耳炎完治? 生後896日(2歳5カ月14日)

 夜中、熱にうなされて何度か氷枕が交換される。本来なら、夜が明けたら子を保育園に預けて夫婦でお買い物の予定だったが、もはや断念せざるをえまい。耳鼻科に行って休ませるだけだ。
 子の声で目覚める。妻に、何やら陽気に訴えかけている。理解できたのは、
  「出たー、出たー」
という声。妻が、
  「なんか熱が下がって治っているみたいよ」
という。とすれば、昨夜の高熱が峠だったわけだ。時計を見ると、9時過ぎている。これから保育園に行く準備をするのは不可能だ。
 妻が食事を与えている最中に、2週間前に注文した「クルクルとけい」が届いた。子は、箱を見るなり、
  「あ、くるくる!」
といったが、「とけい」という言葉も知っているのに、なぜ「くるくる」という?
 耳鼻科だが、私が事前に行って順番待ちノートに名前を書いておいて、ちょうどよい時間に行くという寸法。11時に行くと、すでに12時過ぎての予想時間となっていた。
 12時過ぎて妻が子を連れて行く。うまい具合に、1時前には診断も済んで帰ってきた。
  「耳、治ってますね」
というのが診察結果だった。妻も耳を疑ったとか。まだ鼻水は続くだろう、とのこと。

 私だが、昨夜、子が寝た後、ビール大瓶3本飲みながら小説を読んで寝たことで、精神が安定したようだ。従来と同じく子に接することができている。

 さっき、子が悲痛な声で私を呼ぶ。見ると、食卓椅子に腰掛けたまま、股の辺りを見下ろして怯えている。小さな虫、羽虫のたぐいが止まっている。虫は、大小を問わず怖いのだそうだ。直前に、
  「テントウムシ怖い?」
  「うん、てんてんし怖い」
というやりとりで、テントウムシ、ハチ、チョウチョ、アリ、すべて怖いのだそうだ。ただ、その怖いものリストに、先生、Aっくん、Tカちゃん、Rサちゃん、パパ、ママ、ここまではいいとして、絶対に怖いはずのない、ばあちゃん、まで上ったところから、全然信用できないのだが。

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2002/3/21(木) →題名目次
感傷とは 生後895日(2歳5カ月13日)

 前の日記を書く直前に車の中で3時間寝ている。日記を書き終えたときには、母子とも昼寝に入っていた。私も書き終えて2時間眠る。
 どうも精神状態が良くない。マシンを修復するために極度の緊張が50数時間続いたせいだろうか。心神耗弱の状態なのか。
 というのは、子のわがまま加減が妙に気に障る。いつもなら、「あれとってー、これ欲しー」と言われても、「しょうがないなあ」くらいのつもりで要求に応じるが、今日はそんな気になれない。
  「自分で取れるでしょう。取りなさい」
  「何が欲しいかパパわかりません。はっきり言いなさい」
こんな、幼児にとって無情なセリフが口をついて出る。それで泣いてもうろたえたりしない。
 かと言って愛情がないわけではない。ビデオを見ていて、
  「ほしー、ほしー」
と言い出した。ビデオに出ているケーキが欲しいのか? 違う。「星」がビデオに映っているか? 違う。・・・・「帽子」だった。パーティー用の三角帽子がビデオに出ていて、それが欲しいというのだ。もうその時には苛立ちは限界に来ていた。子もそうだったかもしれない。
  「パパわからないから見つからないかも知れないけど、探しに行こうか」
心の中はため息で満ちたまま、子を抱いて、ありそうなおもちゃ箱に向かう。・・・・なさそうだなあ。諦めようか、と言おうとしたところで、子が、
  「あた! あた!」
まさかと思ったが、本当にあった。私は、ビデオに映っていた青色の帽子が脳裏にあったのだが、実際は金色なのだ。子の記憶力に感服し、誉め称えたいと思った。・・・・これは「愛情」とは違うか。

 そんな感じで、苛立っては子を叱る。「しつけ」という面ではそう間違ったことは言ってないと判断できるが、ふだんならそうは言わない。それがわかっている。だから、「申し訳ない」という気持ちもある。なんだか「やつあたり」している気分。
 夕食の準備がされた瞬間。「心が傷む」・・・・そう感じたとき、私は涙が押さえきれなくなった。急にぼろぼろ涙が出てきた。妻にその場を去ることを告げ、台所に籠もって、忍び泣いた、子に気付かれないように。
 自分でもわからない。ただ、「心が傷む」という気持ちが初めて理解できた。これが「感傷」という感情なのだろう。妻は、「吾子が不憫に感じたんじゃないの」という。そうかもしれない。きっとそうだろう。自分の気持ちが制御できず、それが、狭いキャパシティからあふれさせて子にあたる。自分でもわかっていながら、やはり制御できない。わりを食っているのは吾子。妻なら反撃も来るが、子には反撃できない。それでなのだろうか。
 寝る前には、ボール遊びをした。子は、大きなゴムボールをちゃんと受けることが出来る。楽しく笑い声を挙げ、長い間遊んだ。それでも、その間、むっすることがあった。こちらも楽しいのにこうなのだ。
 子は、汗びっしょり。今日は、3日ぶりに風呂に入れたというのに。
 寝る前に点耳薬を注した。子は、おとなしく横になっている。そのまま寝ることになるので、横たわった子にチューをしようとした。しかし、手で追い払われた。自業自得。
 汗は、遊びすぎによるものだけではなさそうだ。熱がついに出てきたかも知れない。

 私は優しくなかった。明日は優しくなれるだろうか。

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2002/3/21(木) →題名目次
気を取り直して 生後895日(2歳5カ月13日)

 19日の朝、子は泣きながら起きてきて、右耳を押さえている。中耳炎の再発か?
 9時半から診療の始まる、行きつけの近所の耳鼻科に連れて行く。前の経験に懲りて今度は40分ほど前に到着。おお! 待合室には4〜5人しかいない。受付ノートに名前を書こうとして目を疑った。
  診察予想時間:10時
ノートに名前だけ書いて待合室から席を外している人が莫大にいるようだ。・・・・保育園に行けなくなる。緊急でもあるまい。妻に電話をかけよう。子に、うちから持参した「なぜなにQAさかな」を渡して、
  「パパ電話してくるからちょっと待っててね」
というと、椅子に座って両手で本を広げたまま、私を見つめて強くうなづく。かわいいなあ。
 病院を出て十数秒で帰ってくると、子は、先ほどの椅子に座って両手で本を広げた姿勢のまま涙をぼろぼろこぼしていた。周囲の雰囲気から察するに、私の姿が見えなくなった瞬間から泣き始めたようだ。ごめんね。けなげだなあ。

 無駄とは知りつつ、行きつけの名医の小児科に寄る。予想通り、中耳炎になりかけということで、先ほどの耳鼻科への紹介状をくれただけだった。ここに来る前に行ってみて断念した、ということばは飲み込んだ。

 うちからずっと徒歩で園までやってきた。園庭には、菜の花が咲いていて、ミツバチが数匹いる。子の歌う、謎の歌。
  「ちょうちょ、ちょうちょ、はーな。・・・・ハチブンブン!」

 保育園帰りに、さっきの耳鼻科に妻が連れて行った。朝のお詫びに、「なぜなにQAむし」を買って来て置いた。トンボの固く結んだ一直線の口をまねるのが気に入った。また、テントウムシを「てんてんむし」という。かわいいよ。

 手慣れたもので、あれほどいやがった点耳薬も、今や耳に貯めたまま数分おとなしく横になっていられる。成長したものだ。ただ、この日は9時ころから寝かしつけて、11時まで寝なかった。大変であった。

 20日。車を停めてからは、子の要求で従来と全く違うルートで登園。
 この間に、二つ前の日記を書き、再びマシンが壊れました。
 妻が子を迎えに行って帰宅と同時に、父子で近所を散歩。草花が鬱蒼と密生している団地をうろつく。もう書ききれないほどさまざまな草花が咲き乱れている。

 修理に没入して、日時の感覚が薄れている。昨夜は、いったん直ったかな、とマシンを子の目の前で組み立ててみた。邪魔するだろうな、と思ったら、そうではなく、おとなしく興味深げに見ていた。ネジのはまっていないところを見て、「次はここにはめるんだね」とでも言いたいのだろう、指さしていた。もっとも、最後にはしびれを切らしたようで、邪魔をして、私も叱らざるをえなかった。

 今日、21日。朝から子も不安定。私も疲れ切って目を閉じていると、いきなり涙ぐんだ。
  「おなかへった?」
と訊くと力強くうなづく。妻が起きてこないので、シリアルを用意して食わせるが、子がなにか取って欲しがるが、私が要求内容を理解できないでいると、食卓台の上で自棄を起こしてうなって飛び跳ね始めた。シリアルの浮かぶ牛乳が飛び散りかける。さすがの私も思わず目を剥き、「こら!」と怒鳴って手を振り上げていた(振り下ろしはしなかったけれど)。

 激しい春嵐だ。桜花はだいぶ散っているだろう。寝不足の私は、うちを脱出させてもらって、30分ほどのつもりで、車の中で居眠りさせて貰った。結局3時間寝ていた、暑さで目覚めるまで。その間、うちに桜の花が飛び込んできたらしい。子が、気負い込んで説明してくれた。

 この日記、心がある程度安定していないと書く気になれない。書いていると、心が穏やかになる。私にとって必須のものになっていると気付かされた3日間だ。また、その3日間は、マシンの修理と最低限の育児しかやってないと思う。特に、昨日の記憶はほとんどない。なんというか、妻子に迷惑をかけた、という気がする。

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